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幹細胞医療とは

幹細胞とは

約10年前から、当院では患者様ご自身の脂肪幹細胞を採取・培養して幹細胞から分泌(生産)される様々な細胞増殖因子群(分かり易く表現すると栄養素)を幹細胞培養上清として治療に使用して来ました。

しかし、実際に幹細胞を培養してみると以下の事がはっきりしました。
元の幹細胞の状態によって分泌される(生産される)細胞増殖因子群の量・質に差があり、若年者の幹細胞の方が中高年の幹細胞より多量の高品質な細胞増殖因子群を分泌します。

それなら、若年者の脂肪幹細胞を直接注入して様々な多量の高品質なエキスを放出して貰う方が効果が期待出来そうですが、他人の幹細胞注入は拒絶反応や感染症等による重篤な副作用を生じる危険性が考えられ、日本国の法律で規制されています。

そこで、ご自分の脂肪幹細胞を培養して数を増やした後に注入する治療法です。
単純比較すると、若年者の脂肪幹細胞に較べてご自分の脂肪幹細胞は老化で効能が衰えた分だけ効果が劣るでしょう。
ご自分の脂肪幹細胞を培養することで数を増やし、老化で効能が衰えた分を補うどころかそれ以上の効能を出し、より効果を出します。
なにより、別途詳細に述べますが幹細胞には特殊な機能(能力)がありますし…。

これなら、若年者の脂肪幹細胞が放出する様々なエキスを原料にした若返り促進薬との効果の比較は、言わずもがなでしょう。
なにより、ご自分の脂肪幹細胞ですので拒絶反応や感染症等による重篤な副作用がありません。


体性幹細胞、中でも当院で使われる脂肪幹細胞の特殊な4つの役割(機能)をご説明致します。

①ホーミング
病気や怪我、そして老化により損傷を受けた組織に幹細胞が集まる。

②分化
損傷部位に集まった幹細胞が、その部位に元来存在する細胞に変わる。

③パラクイン効果
損傷部位に集まった幹細胞が、その部位に元来存在する細胞の増殖や他の幹細胞の分化を促進する成長因子を分泌し、損傷部位の修復を直接的に助ける。

④エンドクライン効果
損傷部位以外の部位(肺等)に辿り着いた幹細胞が、損傷部位に元来存在する細胞の増殖や他の幹細胞の分化を促進する成長因子を分泌し、損傷部位の修復を間接的に助ける。

以上の4つの役割(機能)を利用して、病気や怪我を治したり、老化を遅れさせたりする医療が「再生医療」です。
現在、様々な研究が進んでいます。

幹細胞について

①脂肪由来とその比較

現在、一般医療・美容医療に関わらず、患者様ご自身由来の体性幹細胞を利用した様々な治療が試みられています。

当院では、脂肪組織由来間葉系幹細胞(脂肪幹細胞)を使用して治療を行います。
脂肪幹細胞は、患者様の皮下脂肪組織から比較的容易に採取出来て、患者様ご自身由来ですから当然ながら拒絶反応がなく安全性が高いです。

皮膚繊維芽細胞:皮膚繊維芽細胞は幹細胞ではないので、皮膚繊維芽細胞以外の細胞に分化しません。
つまり、皮膚繊維芽細胞は皮膚繊維芽細胞が元来存在する皮膚にしか使えません。

臍帯血由来幹細胞:臍帯血には造血幹細胞の他に脂肪由来幹細胞(間葉系幹細胞)と同様の幹細胞が含まれています。造血幹細胞は白血病治療などのように造血幹細胞移植に使用されます。間葉系幹細胞は脂肪由来幹細胞と同じ細胞特性を有しています。しかし簡単に自分の細胞という訳にはいきません。また、他人の臍帯血由来幹細胞では組織適合抗原が違うので移植された細胞が拒絶されたり、逆に移植片対宿主反応(GVHD:拒絶反応とは逆の反応で移植した細胞が宿主を攻撃する反応)が誘導される可能性があります。※1

以上のことから自分の脂肪組織由来の幹細胞は臨床応用上、安全性、コスト、細胞特性から見た臨床効果においても最も期待が持たれる大変優れた細胞ソースであると言えます。

脂肪由来 骨髄由来 臍帯血 繊維芽細胞
(幹細胞ではない)
自己由来or他人由来 自己由来 自己由来 他人由来 自己由来
採取方法 容易(局所麻酔) 難しい(局所麻酔) 他人より採取 容易(局所麻酔)
採取適応年齢 幅広い年齢層 高齢者になると困難 × 幅広い年齢層
幹細胞の種類 間葉系幹細胞(多) 造血幹細胞と間葉系幹細胞(少) 造血幹細胞と間葉系幹細胞(小) そもそも幹細胞がない
幹細胞の数 最も多い 少ない 少ない そもそも幹細胞がない
幹細胞の培養 大量培養が出来る 培養が難しい 培養は出来ない そもそも幹細胞がない。
繊維芽細胞のみの培養。
適合性 △他人由来の為、適合検査必要※1
適応治療 肌全体の若返り
身体の若返り
頭髪の再生
血管再生・修復 身体の若返り 部分的シワの改善に限る
脂肪由来 骨髄由来
自己由来or他人由来 自己由来 自己由来
採取方法 容易(局所麻酔) 難しい(局所麻酔)
採取適応年齢 幅広い年齢層 高齢者になると困難
幹細胞の種類 間葉系幹細胞(多) 造血幹細胞と間葉系幹細胞(少)
幹細胞の数 最も多い 少ない
幹細胞の培養 大量培養が出来る 培養が難しい
適合性
適応治療 肌全体の若返り
身体の若返り
頭髪の再生
血管再生・修復
臍帯血 繊維芽細胞
(幹細胞ではない)
自己由来or他人由来 他人由来 自己由来
採取方法 他人より採取 容易(局所麻酔)
採取適応年齢 × 幅広い年齢層
幹細胞の種類 造血幹細胞と間葉系幹細胞(小) そもそも幹細胞がない
幹細胞の数 少ない そもそも幹細胞がない
幹細胞の培養 培養は出来ない そもそも幹細胞がない。
繊維芽細胞のみの培養。
適合性 △他人由来の為、適合検査必要※1
適応治療 身体の若返り 部分的シワの改善に限る

②脂肪組織由来間葉系幹細胞の優位性

この脂肪由来の幹細胞の発見は、2001年のことでした。その当時カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)形成外科教授のZukPAらによって、皮下脂肪組織の間に豊富な幹細胞が骨髄よりも多く存在することが発見されたのです。

幹細胞は、腹部など全身の皮下脂肪組織という意外な所にも存在していたのです。
しかも、骨髄由来幹細胞は、大部分が造血細胞にしか分化しないのに対して、脂肪組織由来幹細胞は他の多くの種類の細胞に分化する多分化能に優れています。

更に、骨髄から採取するよりも容易に脂肪から採取出来るため、脂肪組織由来間葉系幹細胞が注目されているのです。