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【肌・毛髪の再生医療】脂肪幹細胞治療とは?
近年、細胞や組織を再生させて治療する再生医療が、新たな治療法として注目され幅広く研究されています。
再生医療にも様々な種類がありますが、美容分野では老化に伴い減少した肌細胞や毛根細胞を再生させお肌の悩みや薄毛・ハゲの悩みに効果を発揮する『幹細胞治療』が注目されています。
ただ、幹細胞治療と一口に言ってもクリニックによって利用する細胞・治療法・効果は異なります。
今回は、幹細胞治療の種類や特徴、そして当院で行っている『脂肪幹細胞治療』について詳しく紹介させて頂きます。
そもそも再生医療とは?
再生医療とは、組織や細胞を利用して損なわれた機能を再生させてケガ・病気を治療したり若返らせる医療です。
人間の体(細胞)が元々持つ『再生する力』を引き出すことで、根本的な治癒が期待出来ます。
再生医療には様々な種類があり、細胞自体を利用して治療する「幹細胞治療」・「線維芽細胞治療」、血液の特定成分を利用して治癒する「PRP(多血小板血漿)治療」、人工多能性幹細胞を利用して治療する「iPS細胞治療」・「ES細胞治療」などがあります。
再生医療は、2014年11月から新たに施行された「再生医療等安全確保法」により、厚生労働省からの認可を受けた医療機関でしか施術出来ません。
幹細胞とは?
私達の体は、約60兆個の細胞によって作られています。
その中でも、皮膚や血液の細胞は寿命が短く絶えず新しい細胞に入れ替わっていますが、その失われた細胞を再び生み出し補充する能力を持つ細胞が「幹細胞」です。
幹細胞には、さまざまな細胞に変化する能力『多分化能』と、自分と全く同じ幹細胞を増やす能力『自己複製能』があり、細胞の数が減った場合に新たな細胞を補充します。
- 【多分化能】
身体を創る様々な細胞を作り出す能力で、肌に存在する細胞だけでなく血液や内蔵などに存在する細胞も作り出す。 - 【自己複製能】
自分と全く同じ能力を持った細胞を作り出す能力。
幹細胞を使った肌のエイジングケアとは?
「エイジング」とは、加齢・老化によって生じる様々な変化です。
肌のエイジングは、大きく分けると以下の2つの事が原因となり引き起こされています。
肌のエイジングの原因「内因性老化」
内因性老化とは、肌の再生能力の低下が原因となり、「肌の乾燥化」や「肌の菲薄(ひはく)化」など様々な症状を引き起こす自然老化です。
肌の乾燥化 | 特に女性は50歳を過ぎると、更年期による女性ホルモン(エストロゲン)分泌の低下で肌細胞を作る能力が衰える。 肌を保湿する組織・成分が減少し、肌の潤いが低下し乾燥化する。 |
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肌の非薄化 | 乾燥化して水分を失った肌は薄く硬くなり、しわやたるみ等のさまざまな症状が目立つようになる。 |
肌のエイジングの原因「外因性老化」
外因性老化とは、外的要因による肌の老化で主に「光老化」と「ストレス老化」です。
光老化 |
光(紫外線)は、肌を損傷し老化症状を引き起こす原因となります。 紫外線の中でも肌の老化の要因となるのが「UV-A」と「UV-B」で、肌の表面や深層にある細胞を損傷し、肌の弾力を失いシワやたるみ・シミなどの症状を引き起こします。 |
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ストレス老化 |
ストレスにより身体に負荷がかかると、体内で身体の酸化(老化)を促進する活性酸素が発生します。 通常は、抗酸化酵素が生成され活性酸素を無毒化していますが、35歳頃から抗酸化酵素の生成量が減少するため老化症状が進みます。 |
幹細胞による肌の活性化=肌のエイジングケア
肌のエイジングを遅らせるために肌を正しい周期(約28日)でターンオーバー(新陳代謝)させる事が最も重要ですが、老化により肌細胞が減少するとその周期は長引いてしまいます。
幹細胞培養による肌のエイジングケアでは、その老化で減少した肌細胞を補充し元気な肌細胞を増加させます。
そして、肌の正しい周期でのターンオーバーを促進して肌を活性化させる事で、若々しい肌を取り戻す事ができます。
つまり幹細胞治療とは、幹細胞を用いて肌を活性化する再生医療を用いた次世代のエイジングケアです。
幹細胞の種類と治療の特徴
幹細胞を用いた治療にもいくつかの種類があり、また幹細胞自体もさまざまな種類があり、それぞれの幹細胞によって治療方法や効果も異なります。
ここでは、幹細胞の種類や治療の特徴などについてご紹介します。
幹細胞の種類
幹細胞は、まず分化可能な細胞の種類によって以下の2種類に分かれます。
- 【組織幹細胞】
血液系なら血液系細胞にのみ、神経系なら神経系細胞にのみと、分化可能な細胞が限られた幹細胞 - 【多能幹細胞】
「脂肪・骨・軟骨・血管・心筋・肌・毛根」など体内のさまざまな細胞に分化可能な幹細胞
上記の多能幹細胞のうち、再生医療で注目されているのが以下の3種類の幹細胞です。
ES細胞
受精卵となった細胞が分化した胚の中にある細胞を培養して作られる細胞です。
IPS細胞
体細胞に特定の因子を入れて人工的に作られる人工多能性幹細胞です。
体性幹細胞
体性幹細胞は、人間の体の中にもともと存在している細胞です。
iPS細胞やES細胞は採取時の倫理的問題や癌化リスクなどがありまだ研究段階であるため、現時点で主に幹細胞治療として利用されているのがこの「体性幹細胞」です。
また、体性幹細胞にも以下のようなさまざまな種類の幹細胞があります。
- ・間葉系幹細胞
- ・脂肪幹細胞
- ・造血幹細胞
- ・血管内皮幹細胞
- ・神経幹細胞
- ・上皮幹細胞
幹細胞を利用した治療の特徴
幹細胞を利用した治療には以下のようなものがあります。
脂肪幹細胞治療
脂肪幹細胞治療は、自身の身体から採取した脂肪から脂肪幹細胞を分離し、専用の施設で増殖・培養したのち、顔や頭皮に注射器で注入するまたは点滴で体内に戻し、身体や肌の若返りや頭髪の再生などを促す治療法です。
自身の脂肪幹細胞を使用するため、アレルギー反応や拒絶反応のリスクが少なく安全性の高い治療法です。
また、採取する脂肪はわずかな量であるため、傷口も小さくダウンタイムもほぼありません。
瞼や目の下の脂肪取り手術・脂肪吸引手術などの脂肪を扱う手術を受ける場合は、それらの脂肪を治療に活用する事も出来ます。
骨髄幹細胞治療
骨髄幹細胞治療は、自身の骨髄から骨髄幹細胞を採取して増殖・培養したのち点滴で体内に戻し、血管の再生や修復などを促す治療法です。
骨髄幹細胞は、脂肪幹細胞に比べると分化能力が低く、分化できる細胞の種類も少ないです。
骨髄から骨髄幹細胞を採取するため、身体への負担は大きくなります。
臍帯血幹細胞治療
臍帯血幹細胞治療は、出産時に臍帯血(へその緒の血液)の中の臍帯血幹細胞を採取し、それを利用して行う治療法です。
臍帯血幹細胞には、胎児を成長させるための優れた能力が沢山あります。
しかし、出産時しか採取出来ないため、殆どの方は他人の臍帯血幹細胞を使わざるを得ません。
他人の臍帯血幹細胞の注入は、拒絶反応や移植片対宿主反応を生じる可能性が非常に高いため、日本国では「再生医療等安全性確保法」で厳しく規制されています。
幹細胞培養上清治療
幹細胞培養上清治療は、脂肪幹細胞を培養した培養液の上澄み液(上清)を使って肌の活性化等を促す治療法です。 幹細胞の培養上清には、幹細胞から分泌される約500種類以上のタンパク質成分や成長因子が含まれており、体内にある組織や細胞の再生を促す等の効果が期待出来ると一般には云われています。 しかし、当院で実際に幹細胞培養上清治療を長年行っていた結果、若年者の幹細胞を培養した上清でないと上記の効果は期待出来ません!
長期的な効果が期待できる【脂肪幹細胞治療】
当院では、肌トラブルの原因を根本から改善し、さらに長期的な効果が期待できる『脂肪幹細胞治療』の施術を行っています。
ここでは、脂肪幹細胞治療について詳しく解説します。
脂肪幹細胞治療の仕組み
当院で行っている脂肪幹細胞治療では、お臍などから採取した脂肪より脂肪幹細胞を分離して、約1ヶ月掛けて約8,000〜1億個に増殖・培養します。
脂肪幹細胞は、増殖する過程で様々なエキスを生産・分泌します。
脂肪幹細胞が生産・分泌する主要エキス
- 【サイトカイン】
主に免疫細胞から分泌されるタンパク質で、細胞間の情報伝達を行う。 - 【成長因子】
タンパク質の総称で、特定の細胞の多分化・自己複製を促進する。
増殖培養した脂肪幹細胞は、自ら生産・分泌した上記のエキスにより自らを活性化し、肌や頭皮に注入すると約3〜6ヶ月掛けて肌の細胞や毛根の細胞に分化して老化による損傷組織を修復します。
脂肪幹細胞の特殊な機能
脂肪幹細胞には、以下のような特殊な機能(能力)があります。
病気・怪我・老化などにより損傷を受けた組織に脂肪幹細胞が集まる。
損傷組織に集まった脂肪幹細胞が、損傷組織に本来存在する細胞に変化する。
損傷組織に集まった脂肪幹細胞が、損傷組織に本来存在する細胞を増殖させる成長因子と、他の脂肪幹細胞の分化を促進する成長因子を生産・分泌し、損傷組織を直接的に修復する。
損傷組織以外の部位(例えば肺など)に辿り着いた脂肪幹細胞が、損傷組織に本来存在する細胞を増殖させる成長因子と、他の脂肪幹細胞の分化を促進する成長因子を生産・分泌し、損傷組織を間接的に修復する。
脂肪幹細胞が生産する有用な成長因子
脂肪幹細胞は150種類以上の成長因子を生産しますが、肌や毛根に有用となる代表的な成長因子には以下のようなものがあります。
EGF(上皮成長因子)
肌の新陳代謝を促進し、シワ・しみ・くすみ等の老化症状を改善します。
VEGF(血管内皮細胞成長因子)
新しい血管の形成を促進したり、血管の栄養素を運搬する働きを高めます。
肌や頭皮で新しい血管が形成されてより多くの栄養素が運搬されると、肌の老化が防止・改善され、毛根より発毛が促されます。
aFGF(繊維芽細胞成長因子)
肌や毛髪に必須なコラーゲンとエラスチンの合成を促進するため、肌の弾力を増強し毛髪を成長させます。
PDGF(血小板由来成長因子)
新しい血管の形成を促進します。
まだ詳細な機序は解明されていないですが、老化等で損傷した肌の細胞を再生したり、毛根の細胞を活性化して発毛を促します。
IGF-1(インスリン様成長因子)
肌の血流・コラーゲンなどの増加を促進し、肌の構造・機能を維持します。
HGF-1(肝細胞増殖因子)
あらゆる細胞の老化を抑制します。
肝臓には切除しても数ヶ月で再生する驚異的な機能があり、その機能をこの成長因子が担っています。
脂肪幹細胞治療と線維芽細胞治療の違いは?
肌の再生医療には、幹細胞治療と類似した治療法として繊維芽細胞治療があります。
同じような治療(幹細胞治療)として扱っているクリニックもありますが、実は幹細胞と線維芽細胞はまったく異なる別の細胞です。
線維芽細胞は、そもそも幹細胞ではない!
線維芽細胞は、皮膚にある(肌の真皮に存在する )肌細胞の一つであり幹細胞ではありません。
そのため、さまざまな細胞に分化する能力を持つ幹細胞と違って、線維芽細胞は線維芽細胞にしか分化する事ができません。
線維芽細胞治療とは?
線維芽細胞治療は、自身の線維芽細胞を採取して増殖・培養したのち、肌に移植する治療法です。 肌を構成する「コラーゲン・ヒアルロン酸・エラスチン」などを産生するのが線維芽細胞で、増殖・培養した線維芽細胞を直接肌に移植する事で細胞を補充し肌の再生を促します。
線維芽細胞を作り出す細胞が『幹細胞』
「コラーゲン・ヒアルロン酸・エラスチン」 を生み出す線維芽細胞は、肌の再生には欠かせない細胞です。
そして、その線維芽細胞を作り出しているのが幹細胞です。
つまり、線維芽細胞を生み出す幹細胞を補充する事ができれば、線維芽細胞が減少しても、幹細胞の2つの能力(自己複製能・多分化能)により、また新たに線維芽細胞を生み出す事ができるのです。
『幹細胞』は肌の細胞自体の再生が可能
線維芽細胞は、肌の深層の細胞に対して機能を高める機能がありますが、肌の細胞自体の再生は出来ません。
一方、あらゆる細胞に分化する幹細胞は、線維芽細胞だけでなく、皮膚のバリア機能、血管や神経も再生する事ができます。
- 【線維芽細胞】
線維芽細胞の再生によりコラーゲン・ヒアルロン酸・エラスチンなどを生成。 - 【幹細胞】
線維芽細胞の再生によりコラーゲン・ヒアルロン酸・エラスチンなどを生成、さらにバリア機能・血管・神経も生成。
肌全体を再生する事で肌トラブルの根本原因を改善し、さらにその効果の持続力にも期待が持てます。
当院の【脂肪幹細胞治療】特徴・効果・料金
最後に、当院で行っている脂肪幹細胞治療について詳しくご紹介させて頂きます。
※効果やダウンタイムには個人差があります。
脂肪幹細胞治療へのこだわり
冒頭で申し上げたように、再生医療は2014年11月に新たに施行された「再生医療等安全確保法」により厚生労働省からの認可を受けた医療機関でしか施術する事ができません。
当院は、厚生労働省より第二・三種再生医療等提供計画番号を取得し、脂肪幹細胞等を使った再生医療を施術できる医療機関として厚生労働省より認可を受けています。
そして、同じく認可を受けている「グランソール奈良」と提携し、脂肪幹細胞の分離・培養を行い無菌状態で保管します。
脂肪幹細胞治療の流れ
当院の脂肪幹細胞治療は、以下のような流れで行います。
肌の場合
傷跡の目立たないお臍やお尻から、ごくわずかな量の脂肪を採取します。
脂肪の採取は、局所麻酔で行ない15分程度で終わります。
グランソール奈良の「特定細胞加工物培養施設」にて、採取した脂肪から幹細胞を分離・培養を行ない、無菌状態で保管します
約1ヶ月掛けて約8000〜1億個に増殖培養します
洗顔した後、麻酔クリームを顔に塗布します。
麻酔クリーム塗布30分後、水光注射にて幹細胞を直接注入します。
※治療時間は約10分です。
当日からメイク可能です。
毛髪の場合
傷跡の目立たないお臍やお尻から、ごくわずかな量の脂肪を採取します。
脂肪の採取は、局所麻酔で行ない15分程度で終わります。
グランソール奈良の「特定細胞加工物培養施設」にて、採取した脂肪から幹細胞を分離・培養を行ない、無菌状態で保管します
約1ヶ月掛けて約8000〜1億個に増殖培養します
鼻から笑気麻酔ガスを吸入して頂きます。
笑気麻酔ガスが効き始たら、自動注射器にて脂肪幹細胞を頭皮に直接注射します。
当日から洗髪可能です。
脂肪幹細胞治療の効果
脂肪肝細胞治療では、以下のような効果が期待できます。
若返り効果 | 肌の表層の細胞に分化する脂肪幹細胞を注入する事で、肌の正しい周期でのターンオーバーを促進かつての若々しい肌を取り戻せます。 |
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たるみやシワの改善 | 脂肪幹細胞が肌の深層にある線維芽細胞に分化し、線維芽細胞がコラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸を産生、結果としてたるみ・シワ等の老化現象を抑制します。 |
薄毛(ハゲ)の改善 |
毛根が存在すれば、脂肪幹細胞を培養・増殖を行う過程で放出される様々な身体に有効なエキス(上清)を原料にした製剤がかなりの高確率で有効。 脂肪幹細胞を頭皮に注入すると、幾つかの段階を経て毛根の細胞に優先的に分化するため毛根を増やせます。 |
脂肪幹細胞治療のダウンタイム
ダウンタイムは、殆どなく施術直後より通常の日常生活が可能です。
脂肪の採取は、局所麻酔で行ない15分程度で腫れや痛みもほとんどございませんのでご安心下さい。
傷跡は数ミリで1ヶ月後には分からなくなります。
脂肪幹細胞治療のリスク・副作用
脂肪幹細胞治療は、ご自身の脂肪より脂肪幹細胞を分離・培養するため、適合性・安全性の面でも非常に優れております。
施術後に赤みや腫れ・疼痛・内出血等を生じる事がありますが、これらの症状は一時的なもので数時間から数日で消失します。
脂肪幹細胞治療の費用
脂肪幹細胞治療の料金は、以下の内容を含め1,100,000円 (税込み)になります。
- 幹細胞培養費用 2500万個
- 脂肪採取費用
- 細胞冷凍保管料(2年)
※保険適用外 自由診療となります。
脂肪幹細胞治療のメリット・デメリット
脂肪幹細胞治療のメリットとデメリットは以下の通りです。
脂肪幹細胞治療のメリット
脂肪幹細胞のメリットは、採取が容易である点、自分の組織を使用するため拒絶反応やアレルギーがない点です。
また、脂肪幹細胞の能力で肌・毛根の細胞が増えるのみならず、脂肪幹細胞から生産・分泌される多種類の成長因子で肌・毛根の細胞が活性化されるので、その効果が長期に持続されます。
脂肪幹細胞治療のデメリット
脂肪幹細胞による治療は長期的な改善効果が期待できますが、数か月かけて肌細胞・毛根細胞が再生されるため即効性はありません。
幹細胞治療(肌再生医療)なら神戸三宮の神成美容外科へ!
今回は、当院で行っている脂肪幹細胞治療について、詳しくご紹介させて頂きました。
脂肪幹細胞による再生医療は、主に老化で損傷した組織の減少した細胞を補充するため長期的な効果が期待出来ます。
当院では、エイジングケア治療として、脂肪幹細胞治療以外にもお一人お一人の患者様にあった技術とサービスを提供しています。
無料カウンセリングも行っていますので、幹細胞治療(肌再生医療)に興味のある方、お肌や毛髪に悩みのある方は神戸三宮の神成美容外科へお気軽にご相談下さい。